色彩は科学的にいえば、“光”による視神経の興奮が脳の視覚中枢に伝えられ生じる“感覚”であります。ですが一般的には、色彩は私たちの体や心に潤いと 変化や情報をもたらす、きわめて有意義な刺激にほかなりません。色彩には、寒暖・強弱・軽重・硬軟といった「感覚的」なものと、喜・怒・哀・楽・快・不快といった「精神的」なものがあります。前者が人々に共通する普遍的な心理であるのに対し、後者は、人により、時により、さらには経験や環境等により変化し得る主観的な要素を含んでいます。現代は感性の時代といわれ、人々は言葉以上に“色”や“香”、“音”、“形”などを感じる能力が敏感になっています。近年、色彩が注目されている理由に、色が人々の感情を刺激し、イメージを左右しアメニティ(快適感)や癒しの気分を満喫させてくれるもので感情的作用と意味的作用を持っているからだと考えられます。 「色彩と感情」、「色彩と意味」、という色彩感情を最初に論じたのはドイツの詩人「ゲーテ」です。彼の著書「色彩論」(1810年)の中で、色彩の生理的心理的作用を述べた一文に、「青は心を引きつけるが、青はわれわれから遠ざかって行くように思われる」とか「赤は威嚇的な恐ろしい色。夕焼けの色は恐怖・危険、闘争を象徴する色に映る」、「緑はやすらぎの色」、「黒は悲しみの色」と記しています。色には特定の観念や人間の性格さえ象徴するが、普遍的なものもあれば、時代や文化・風習と共に変わっていく場合もあり、流動的な面も多々あります。地域や文化などによっても色彩の感情は異なることもあります。人間の心理もたえず一定ではないように色彩感情も変化しています。気分の変化や時代の変化はとても色彩に反映されやすいのです。 このような色彩の性質や意味を知ることは、心の状態を把握するだけではなく、商品戦略や広告研究にも応用されており、ビジネスや日常生活においても多大な力を発揮してくれる実用価値が高い分野でもあります。